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境界線のはなし

夜、線を引くときの気持ちは、面白い。
どこに線があるのか、線は本当にあるのか、どこに、どうやって引くのか、
境界線について考えが無数に起こるとき、

飼われている野良猫は、野生と飼育の境界を行き来する興味深い生き物です。
動物園のチンパンジー達は、人間と動物のほとんどの繋がりと隔たりを明らかにします。
土地の植物の記録から、人間が引いた境界線とは異なる自然が引いた境界線を観察します。
連続した日常の記録は、記憶-妄想-物語への移行を起こします。
死んでいく老人の意識の中に、同時にあらわれる過去現在未来。
世話をする家族は、自己と他者、個人と国家の関係を考え直す必要に迫らせます。
ガリバーは大きな存在になったり、小さな存在になったりして、冒険を語りたがります。
家はできていく時、建設の冒険を語りたがっています。
使われなくなった家や物は、この世とあの世を行き来する自由さを持っています。
朽ちていくものは死んでいくようでいて、生の輝きを持った動いているモチーフとなって、
別の世界との生き方を整えながら、線を引くためのガイドとなります。
境界線をどこに持ってくるか考えるとき、

箱は個々の領域を一旦分けてくれるのに役立ちます。
組み合わせは自由です。箱の中から出ることも可能です。しまっておく事もできます。
箱の中を覗いていると、箱の中に箱があってそのまた中に箱があって、というはなしがあったけど、
小さい箱の中を覗いていると思っていたら、大きな箱の中にいたというはなしもあるかもしれません。

青木陵子

Artist Info

青木陵子 Ryoko Aoki